霧の月 2

私、山瀬裕一は六年前の春先のある日、勤務先の昼休みに体内に激痛が走り直ぐに那覇市内の新都心にある青海中央総合病院に行った。診断は胆石の症状がひどく即入院だった。主治医の遠藤医師により翌日内視鏡による胆石の手術を受けた。五階の内科病棟で五日間入院した。その時の内科病棟で浅田聡子には初めて会ったのである。勿論、患者と看護師としてである。入院中なにかと世話になった。遠藤医師が肝臓の検査値が正常値に近いので明日退院しましょうかと言われた時は嬉しくて涙が出た。退院の日、浅田聡子が退院出来て良かったですねと云い薬を渡された。その後再発もなく過ごしていた。青海中央総合病院に入院したのも、甲府に行ったことと目に見えない糸で繋がっていたのであろうかと今では思うのである。 つづく